地盤調査は、計画する構造物の規模や種類・目的に応じた調査方法で行う必要があります。下の表は、主な調査対象と調査方法との関係を示したものです。

主な調査対象と検討項目の関係

検討すべき項目
調査対象
地層構成物理特性地下水/透水性圧密特性強度特性支持力特性 変形特性施工管理維持管理環境調査
橋    梁

河川構造物

直接基礎

杭 基 礎


開    削


液 状 化





○は調査すべきもの、△は場合により調査すべきもの。



主な地盤調査方法と検討項目

検討項目
調  査  方  法地層構成物理特性地下水/透水性圧密特性強度特性支持力特性変形特性施工管理維持管理災害調査/環境調査
対象地盤
粘性土砂質土岩 盤
機械ボーリング








標準貫入試験


オランダ式コーン貫入試験





孔内水平載荷試験





現場透水試験







地盤の平板載荷試験







室内土質試験 物理試験
(含水比,粒度試験など)









圧密試験






力学試験
(一軸,三軸試験など)





備     考 凡例
◎:頻繁に用いられる
○:用いられる
△:まれに用いられる
凡例
○:適する
△:やや適する





○ ボーリング調査

 土や岩を観察して地層の構成を明らかにするとともに、その後に実施される標準貫入試験などの原位置試験やサンプリング、及び施工管理のための計器類を埋設することを目的として行う。
 ロータリー式の機械ボーリングで掘削するのが一般的で、その掘削孔径は66o〜86oなど、後の原位置試験に応じて決められる。

 ボーリング調査の密度や数量は、構造物の工事の目的や規模によって異なるので一律には決められないが、大規模・高層建築物を例にするなら
 ・土層が均一なら50.0m間隔
 ・土層が普通なら30.0m間隔で
 ・土層が不均一の場合は15.0m間隔
を目安に4ヶ所程度配置。調査する深さは基礎幅の最小辺長の3倍(6m以上)、且つ支持層の厚さは5.0m程度確認、その結果に応じて必要なら追加して調査する。





○ 標準貫入試験

土の硬軟や締まり具合を判定するために行うもので、ボーリング孔を利用してJIS.A.1219の基準に基づいて行う。それは深さ1.00m毎に、質量63.5sのハンマーを75cmの高さから自由落下させて打ち込み、30cm貫入に要する打撃回数をN値として表示する。

N値から求められる事項は
 ・深さ方向の強度変化
 ・圧密判定
 ・基盤、支持層の位置
 ・粘性土地盤:コンシステンシー、一軸圧縮強度、粘着力、支持力
 ・砂質地盤:相対密度、内部摩擦角、支持力度
など。





○ オランダ式二重管コーン貫入試験

 原位置における土の硬軟や締まり具合を判定するために、規格のマントルコーンを一定の速度(=1cm/s)で押し込み、その際の貫入抵抗を求めるもの。
  それはJIS.A.1220に基づいておこない、その抵抗値はqc値として表示され、基礎の支持層の分布や土の力学的性質が分かる。標準貫入試験N値との関係はMeyerhofの式qc=4N(kg/cm^2)が有名であるが、最近は平均粒径によってqc=2N(細粒)〜5N(粗粒)の範囲にあることが示されている。




○ 孔内水平載荷試験

 地盤の水平方向の変形特性や強度定数を求めることを目的とする試験で、ボーリング調査孔の孔壁を水平方向に加圧する方法が一般的である。
 地盤の変形係数(E)とN値の関係は、E=7N(kg/cm^2)が有名である。
最近は「室内土質試験との関係」や「圧密先行荷重との関係」及び「基礎の支持力や沈下量」などとの関係に関しても比較研究が進んでいる。




○ 平板載荷試験

 現地盤に剛な載荷板を介して荷重を与え、荷重の大きさと沈下との関係から地盤の変形や強さなどの支持力特性を調べる試験である。
 構造物基礎に対してはJIS.A.1521、道路や空港、タンク基礎などに対してはJIS.A.1215に基づいて行う。

 試験は直径30cmの円形鋼板を使うのが一般的で、荷重面が小さいため深くまで応力は及ばない。従って、事前にある程度の深さまで土層を確認してから本試験を行うのがよい。





○ 室内土質試験

 室内土質試験は、土の物理的または力学的な特性を把握するために行うもの。
土の物理的な特性に対する試験は次のような方法がある。
土の密度(比重)試験土の個体部分を構成する無機物および有機物の単位体積当たりの平均質量。一般的な無機物土は2.6〜2.8g/cm^2で、鉱物を多く含むと大きく、有機物を含むと小さな値を示す。
土の含水量試験土粒子に対する水の質量を百分率で示すもの。
土の粒度試験地盤を構成する土粒子径の分布状態を全質量に対する百分率で表す。土の分類、粒度分布の良し悪し、透水係数の判断などに利用される。
土の液性限界試験土が塑性状態から液状に移るときの含水比。
土の塑性限界試験土が塑性状態から半固体状に移るときの含水比。
土の湿潤密度試験土粒子の質量と間隙に含まれている水の質量で、土の締まり具合を判断する指標として利用される。地盤の支持力、圧密沈下、土圧や安定解析などの構造物設計に必要な土の単位体積重量。
土の強熱減量試験土を加熱することによる質量の減少から、土に含まれている有機物量および結合水量や結晶水量の目安を得るための最も簡便な方法で、泥炭などの土壌化の度合い判定に利用することが多い。


 力学的な強度を求める試験には次のような試験方法がある。
土の一軸圧縮試験土の一軸圧縮強度(qu)を得る。原位置にあった状態での非排水せん断強さを推定したり、改良地盤の安定性を評価する、などのために利用される。
土の三軸圧縮試験土の粘着力(C)及びせん断角(φ)が求められる。土のせん断強さを実験で求めるもので、その方法には非圧密非排水(UU)、圧密非排水(CU),圧密排水(CD)法があり、目的に応じて行う。
土のせん断試験強度定数はC’、φ’、Cd、φd。土のせん断強さ及びせん断応力とせん断変位の関係を求めることを目的とする。
土の圧密試験圧密沈下を予測するための試験で、圧縮量と圧力、圧縮量と時間の関係などを求めることを目的とする。