○標準貫入試験のN値とは

 標準貫入試験はテルツァギー・ペックの「土質力学」(1948)に Standard Penetration Test(SPT)という名称で発表したことに始まり、今では地盤調査といえばほとんどの場合、標準貫入試験が実施される状況にある。
 我が国においては、その試験方法はJISで定められ、土質基礎工学の分野で極めて実用的な力学的定数値として利用されている。また、地質学的にも土の性質を定量的に示す指標として用いられ、その応用例は広い。

○標準貫入試験N値の長所・短所

長  所


短  所

各種試験法によるデータのばらつき
地盤定数
平  均標準偏差変動係数
一軸圧縮強度 (kgf/cm^2)  86.30  9.800.114
コーン貫入抵抗(kgf/cm^2)33.246.840.206
標準貫入試験N値  (回)22.2010.00.450

 地盤を評価するのに最も便利に使われているN値だが、そのN値は多少なりとも不確実性な面があるので過信することはできない。

○N値を利用した地盤の評価

 N値と地盤の強度評価(定数)に関しては、次の諸表のような関係が提案されているが、いずれも概算値である。従って、設計の際には計算式で再確認したり、ほかの試験(土質試験や原位置試験)を併用するなど、総合的な検討な必要である。

N値による許容支持力度(長期=常時)の目安
地     盤 許容支持力度
(kN/m^2)
備   考
N値qu(kg/cm2)
岩  石
1000100以上
砂  盤
50050以上
土丹盤
30030以上
礫  層 密 実 な
密実でない
600
300


砂質地盤 密  な
中  位

緩  い
非常に緩い
300
200
100
50
0
30〜50
20〜30
10〜20
5〜10
5以下

粘土質地盤 非常に硬い
硬  い
中  位
軟らかい
非常に軟らい
200
100
50
20
0
15〜30
8〜15
4〜 8
2〜 4
0〜 2
2.5以上
1.0〜2.5
0.5〜1.0
0.25〜0.5
0.25以下
関東ローム 硬  い
やや硬い
軟らかい
150
100
50
5以上
3〜 5
3以下
1.5以下
1.0〜1.5
1.0以下

∴基礎工Vol.25,12より(qu:一軸圧縮強さ)


粘 性 土 の N 値 と 一 軸 圧 縮 強 度 qu (kN/cm^2)
コンシステンシー非常に軟らかい軟らかい普通の硬い
N   値  (回)<22〜44〜88〜15
一軸圧縮強度(qu)<2525〜5050〜100100〜200

∴Terzaghi&Peckより

N 値 と φ ・ qu ・ C (粘着力)と の 関 係 一 覧
出   典 内 部 摩 擦 角
φ(度)
一軸圧縮強度
qu(N/cm^2)
粘 着 力
C (kN/m^2)
Terzaghi-Peck
N/0..8
P e c k27+0.3N

Dunham √(12N)+(15〜20)

大   崎 √(20N)+154+N/2
建築基礎構造設
計規準・同解説
√(20N)+15

道路橋示方書15+ √(15N)
(6.0〜10.0)N

∴理工図書「N値の話」より