「ボーリング柱状図」の例。下の絵をクリックすると拡大します。


「推定地層断面図」の例。下の絵をクリックすると拡大します。


『地盤はばらつくもの』
  30数年間にわたって地盤調査の仕事に携わってきましたが、地盤は決して同じ条件では堆積(構成)しないものであって、非常に難しくあり、また面白いものと実感しています。次はこれまでに経験した地盤やN値がばらついた一例です(参考までに…)。

○火山灰などの火山質土は…
  火山質土はN値のばらつきが顕著な地盤です。特に火山灰は同一敷地で、同一人が調査してもN値は異なることが多い地盤です。また、火山灰のN値は低めに計測されることがあって、過少評価しがちであり、N値だけに頼る設計には疑問があります。

○札幌市中央区、豊平川左岸・幌平橋の近くで…
  近隣のボーリングデータでは表層から「玉石混じり砂礫(通称、砂利)」が堆積し、N値は大部分が50以上を示し素晴らしい地盤である。しかし、計画地のほぼ中央で地盤調査を行った結果は深さ約5.0mに厚さ90cmほどの緩い砂層を挟むことを確認した。後日、敷地内で8ヶ所の調査を行った結果、同深度付近に30cm〜90cmほどの厚さで豊平川に沿うようにして南北に砂層が走ることが確認され、旧河川の流路と推察された。計画建物(15階建て)の基礎下は、ラップルコンクリートにて調節して対処した。

○札幌駅の北側で…
   北9条西3丁目の例で、10.00mの深さまでは砂礫と砂層が互層して、N値は10から50前後で上下した。また場所によって互層する状態は変化するようで、僅か15mほどの離れにも関わらず、土質やN値分布は大きく変化していた。近隣のデータは敷地によって異なり、また基礎工法も構造物の規模や経済性・施工性の関係で違い、隣接建物にも拘わらず直接基礎と杭基礎としている例がある。
 ここ2〜3年、札幌駅北側で春先から夏場にかけて水位が上昇し、地下室に水が溜まる報告が多い。附近一帯は最近、高層建物や地下室を設ける建物が多く建築され、またトンネルが開通したことなどの条件変化で「水みち」が変わったかも…。

○札幌市厚別区厚別中央、厚別川の左岸で…
  厚別川の流域は沈下の対象層となる厚い泥炭層で覆われ、特に同河川の左岸は沈下障害の例は多い。一般的に河川に近い方が地盤は弱いものと思われたが、調査の結果は逆で、河川側に締まった砂層が確認された。杭打ち(現場造成杭)施工の際は、砂層の密度が非常に不均一なために施工管理は苦労されたようです。

○札幌市の宮の森・二十四軒・琴似地区は非常に難しい
  これらの地域は地盤やN値がばらつくため、附近の参考資料では安心できない。琴似・発寒川は氾濫・蛇行が非常に著しい河川として知られ、そのため砂礫と粘性土が互層して堆積する傾向がある。また砂礫層の礫(石)の混じり方はルーズであり、また浅層部には玉石が多く混じる傾向にある。二十四軒1条6丁目地区の例では、向かい合わせの敷地でありながら砂礫層の分布深さが大きく違っていたのには驚かされた。また宮の森地区に於いては、支持層とする締まった地盤は深さ60mまで調査しても確認されなっかた例もある。

○宮の森地区の支持層か?
  この度(2005年4月)、宮の森地区で85.00mの深さまで調査しました。深さ80.00mからN値は50を超え、S波も400m/s以上であることを確認しましたが、岩層ではないので限界耐力設計の基盤になるのでしょうか。この地域の基盤は「岩層しかない!」、と思っていたので意外でした。これ以上の調査実績がありましたらお知らせ下さい。

○発寒川の左岸で…
  既存建物がある関係で敷地の端部で調査した結果は、現地表面から約60cmほどの浅い位置から砂礫が確認された。しかし、建物を解体して基礎根切り工事が始まってびっくり。調査地点から2mほどしか離れていないにも拘わらず、計画建物の範囲は砂礫が約3.4mと深くなっていた。これは発寒川が蛇行した影響であり、河川流域では必ず計画建物の範囲内で調査しなければと痛感した例。

○西野地区で…
  また発寒川の流域で、西野地区の調査例。同一敷地内でわずか27mほどの離れにも拘わらず、一方には深さ5mの範囲内にN値が4〜8の緩い中間層(厚さ1m前後)が二層も挟んでいた。対してもう一方はほぼ表層ちかくからN値の高い砂礫層であり、層厚も十分であった。基礎は直接基礎で支持されたが…。

○JR手稲駅前で…
  手稲地区も地盤は乱れることが多いが、同一敷地内の約30mの水平距離で、支持地盤は深さ10.0mと17.0mで、その差は約7mもあった。地形的には手稲山北斜面の裾で、ルーズな崖錐状の堆積物で砂礫と粘性土が互層するためである。また岩石や玉石、及び非常に大きな転石が混じることがあり、基礎工事は苦労する地域である。

○藻岩山〜円山の山裾は注意…
  山裾近くは砂礫層が薄くなるのが一般的で、代わって崖錐と称する不均一層が堆積する例が多くみられる。従って、地盤強度は大きくばらつく例が多く、特に環状線附近から山裾にかけては不安定であるから注意したい。
 南3西27の例;4.0m前後から13.0mに砂礫が堆積していたが、以深は46.0mまで粘土や火山灰・砂層などでN値は10〜20程度。高層且つ限界耐力で計画する構造物は注意したい。

○崖錐とは…
  山腹斜面から風化、剥離した岩屑の流下堆積物を崖錐と呼んでいる。山腹からの落下形態には落石・斜面崩壊・表面侵食・クリープなどがある。その堆積物も角礫を主とする岩屑から、初生的な崖錐が流水で移動した二次堆積物、風化物起源の粘土を多量に含むものまである。表流水の多くが伏流するため、山腹でみられた水系は崖錐部で消滅することが多い。一般に崖錐堆積物は未固結であり、岩塊や礫の混じりはルーズである。透水性が大きいため基岩との境界部に帯水層を形成し末端部でしみ出すことがある。そのために、末端部の洗掘や切り土によって「地滑り」を誘発しやすいといわれる(地盤工学ハンドブック「地盤工学会」より)。

○美しが丘地区は…
  美しが丘地区は比較的密な火山灰で覆われ、それは洪積世(今から1万年前)の堆積物が多く地盤条件は比較的よいところとして知られる。しかし切り土や盛土による整地で現在のような姿となっているが、旧地形は小河川や小規模な沢が多くあって地形は複雑だった地域で、その旧河川や沢には集水し易いことから同一敷地内でも火山灰の密度は大きく変化する。その結果、住宅のような軽量建物でも不等沈下したり、大きな地震の際には液状化の例もあるので注意したい。

○小樽市に分布する凝灰岩
  小樽市に広く分布する「凝灰岩」は非常に特殊な土質性状をもっている。凝灰岩は火山流堆積物であり、それは粘土状で未固結の例が多いが、地盤強度は複雑である。ミルク状であったり、雪花菜状であったり、また粘土状であるなど場所や深さで変化し、また色調もルーズで鮮やかな黄灰からピンク、緑色なども確認される。低いN値を記録する例が多く、地盤強度は弱そうにみえても平板載荷試験では驚くほど高い反力を示したりする(沈下量は多めではあるが…)。それは含水量や粒子、風化度などによって異なる傾向にあり、N値に頼ると過大設計となる可能性がある。
  昔は杭を打ち込んでいたが、その際、同一敷地内で、または同一のフーチング(独立基礎)内という極めて狭い範囲内で杭はばらばらに高止まりしたり、逆に設計の所定深さで止まらなかったりなど打ち込める杭の長さが大きく違う例は多かった。調査会社や設計者泣かせの凝灰岩である。

○旭川市の砂礫層は?
  旭川は北海道を代表する石狩川とその支流が合流する川の街として知られ、浅い位置から河川が運んだ沖積層の砂礫(砂利)層が確認される。この砂礫は堆積時代が新しいこともあって間隙は緩いことが多く、砂礫らしくないN値が記録されたり、「グサグサ」な緩い状態にあってもN値は(玉石の影響で…)非常に高い値となるので、N値の過大評価は避けたい。強度的に安定するのは砂礫の下位に堆積する溶結火山灰・凝灰岩である。また地下水が非常に多いのも特徴で、地下を設ける場合には水対策は慎重を期したい。